~このプロダクトは新しい「楽器」~
10/1 にNative InstrumentsからKOMPLETE KONTROL S-Seriesが発売されました。
「KOMPLETE」シリーズや「TRAKTOR」、「MASCHINE」などポップス、劇伴、ゲームミュージック、DJ、EDM等あらゆるジャンルを網羅しているNative Instrumentsからの待望の新製品ですので、興味を持った方も多いかと思います。
しかし!商品の発表当時は「光るだけのMIDIキーボードなのに高いなー」と、今思うと大変失礼な事を考えていました。
10/2に都内某所にて行われた商品発表会で実際に触れて、確信しました。
結論から言うとこのプロダクトは新しい「楽器」だったのです。
■Native Instrumentsの歴史について
もともとNative Instruments社はハードウェアベースの音楽制作からPCベースでの音楽制作へと変わる新しい扉を開く為ソフトウェアで動作するGENERATORと言うモジュラー式シンセサイザーからスタートしています。
その後、ソフトサンプラーのKONTAKTやBATTERY、GUITAR RIG等 革命的な商品を発表していき、2009年にソフトウェアとハードドラムマシーンを足した「MASCHINE」、2010年にDJ用ハードウェア「TRAKTOR KONTROL」と進化する音楽環境に対応すべく新たなプロダクトを発表していきます。しかし常に時代を先見してきたNative InstrumentsがなぜこのタイミングでMIDIキーボードを作ったのでしょうか。
■現状のMIDIキーボードへの不満
MIDIキーボードは名前の通りMIDIと呼ばれるデータを使い、PCとデータのやりとりをします。このため、データのやり取りを行う上でどうしても時間的なロスが起こってしまうのです。これは実際の楽器では起こらない、デジタルの弊害と言っても差し支えない問題かと思います。
また、MIDIキーボ−ドはあくまでデータの入力をする為だけの機器となっており、ソフトと独立して動作します。
■新たな通信規格と本当の意味でソフトと一体化したキーボ−ドの開発へ
KOMPLETE KONTROL S-Seriesはこの問題を改善するため、独自のプロトコルを開発し採用しています。このおかげで従来のMIDIキーボードの6倍の速度でPCとのデータのやり取りが可能になったのです。楽器と言う視点で見た時、レイテンシーが少なくなると言う事は非常に素晴らしいですね。
ソフトとハードウェアの融合
KOMPLETE KONTROLはKONTAKTの母艦になるようなソフトで、N.Iの強力なインストゥルメントにソフトウェア上から直接アクセスできるようになります。※ディスコンになりましたがKORE2もこんな感じでしたね。
これを使えばプラグインの隔たりなく音を探したり使用したりできます。
例えば「強力なリードサウンドが欲しい」と思った時は、検索窓で「lead」や「saw」と入力すればMASSIVEやREAKTOR等の全てのインストゥルメントから該当のサウンドを検索できます。
いちいちプラグインを開いて検索して、見つからず、別のプラグインを探して、という時間から開放されるのです。制作時間の短縮が出来るのはありがたいですね。また、KOMPLETE KONTROLはスタンドアロンで動作させるだけではなく、DAW上でも使用が可能です。
その場合は使用する音源の数だけ予めプラグインを起動しておくと便利です。
■KOMPLETE KONTROLの便利機能
他にも便利な機能がたくさんあります。
・スケール機能
予めここでペンタトニックスケール等指定しておけば適当に鍵盤を押してもスケールにあった音がでます。
・単鍵でコード演奏
予め指定したキーに合わせて単鍵でコードを鳴らせます。演奏できない人もこれでラクラクです。
・アルペジオ機能
コードを引けば自動的にアルペジオになります。単鍵でコード演奏機能を使えば指先一つで天才ピアニストになれますね。個人的には左手にコードを指定、右手はメロディー専用にスケール等の、スプリットな設定が出来れば良いなと思ったのですが、こちらは現時点では対応していないようです。要望が多ければアップデートで対応できるとの事でしたので今後に期待ですね。
ざっとした説明でしたがいかがでしょうか。
イマジネーションを具現化するための時間を短縮する為の工夫が随所にちりばめられていて
楽曲制作の相棒として強力なプロダクトになるかと思います。
気になった方は楽器屋さんで試奏してみましょう!
Native Instruments http://www.native-instruments.com/jp/
文:井口イチロウ
SCRAMBLESでは作曲、アレンジ、ギター、シンセプログラミング等を担当
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