【THE対談#001】
誰もが知るヒット曲の数々を手がけるアレンジャー界の”重鎮”CHOKKAKU氏と、彼に見いだされプロデビューした新気鋭のクリエイター 松隈ケンタ(BiS etc…)による師弟対談がついに実現!! 25年ものキャリアを誇るCHOKKAKU氏の音楽に対する想いから、サウンドメイクの方法、他では聴けない裏話まで、2人の関係だからこそ話せる本音でたっぷりと語って頂きました。全世代の音楽人必見です!!
第1回【出会い編】
音楽業界の第一線で活躍するお二人が師弟関係だったというのに驚く方も多いかと思いますが、その関係についてお聞かせいただければと思います。 まず、師弟関係の始まりとなるきっかけは、どんな出会いだったんですか?
松隈:福岡バンド時代、デモテープを送ったんですよ、200社ぐらい。レコード会社、事務所ROCK系、ダンススクール問わず片っ端から。演歌やアイドルの事務所にも送ったし。笑 作曲家の事務所にも送ってて、その中でCHOKKAKUさんのマネージャーI井K夫さんが興味持ってくれて、CHOKKAKUさんに持って行ってくれた。そこからですね。俺たちのバンド(Buzz72+)の最初の印象ってどうだったんですか?
CHOKKAKU:初めてライブみた時、ボーカルじゃなくて、ギターなのにケンタがメインでMCしてたのは覚えてる 笑 ボーカルがしゃべった方がいいよとアドバイスしたね。原宿のどっかだったと思うけど。そのあと福岡のライブで聴いた曲がすごく良くて、なんだっけ…?とにかくあれが良くて。
松隈:「屋上の空」です。 ※松隈のバンド「Buzz72+」のデビュー曲となる楽曲
わざわざ福岡までライブ見に来てくれましたよね、CHOKKAKUさん飛行機乗れないから新幹線で ! そのライブがきっかけでCHOKKAKUプロデュースでavexからデビューすることになりました。それが2005年。会う直前まで、もっと凶悪でソリッドな感じの人なんやろうなと思ってましたけどね。CHOKKAKUだけに。
CHOKKAKU:違ったんだ 笑
松隈:見た目だけでいえば、一緒にライブ来てくれたディレクターS田さんの方がCHOKKAKUだと思いましたもん。ロン毛でサングラスやったし。笑 当時の僕からするとプロデューサーといえば、ダメ出しされまくってめっちゃしごかれるってイメージやったけど全然そんなことなくて。むしろ、CHOKKAKUさんていいところしか言わないんですよね。特にレコーディングの時、ギターソロに関しては何一つ言わんのよ、いいとか悪いとか。自分の責任でどうぞって感じで。
CHOKKAKU:そうだね。まあ、特にギターソロは、弾く人の個性が出るし、そこが大事だからね。そこはプロデューサーでも自分の範疇だけで変えていいものではないと思ってるから。例えば、チョーキングが中途半端だったとしても、その上がりきってないところがその人の個性である可能性があって、それを自分の考える範疇で無くしてしまうとしたら、おかしい話だよね。まあでも、もしサンタナのプロデュースやるとしたら…めっちゃ綺麗にチョーキングさせるよ。許せないもんあの中途半端さ。笑 でもあれがやっぱり個性なんだよ。
個性を尊重するスタンスだったと。とはいえ意見の食い違いなどが原因で衝突したりしたことは無かったんですか?
CHOKKAKU:無かったんじゃないかな?
松隈:そうですねぇ。何もかも教えられることばっかりで、田舎もんだったし。音楽的なこと以外にもほんと色々教えてもらいました。遅刻は絶対するなとか。
CHOKKAKU:まずは音楽業界で生きて行けるように、音楽的なことよりももっとベーシックなところを伝えたかったっていうのはあるよ。俺も若いとき広島から出てきて東京の厳しさをすごく感じたから。だから目線を広くというか、九州の天狗になってはいけない、みたいな。おれは広島の天狗だったから。笑 だって、同じテクニックを持ってる人が2人いて、片方は遅刻して、もう一方はしなかったら、しないほう選ぶでしょ。当たり前に。
アーティストとはいえ、社会的なルールは守るべしと。作曲など音楽の教えはあったんですか?
CHOKKAKU:目線を広げろとは言ってたよ。ROCKだけじゃなくて、とにかく色んなものを聴いて、それをROCKにすればいいじゃんって。
なるほど。お二人のROCKの定義が気になるところですが…ひとまず先に進みます。松隈さんに伺いますが、プロデュースをされて一番教えられたことはなんでしょう?
松隈:当時CHOKKAKUさんにアレンジをしてもらう事になった時、俺としては、自分たちの楽曲にものすごい変化を加えられて、バチバチに険悪になる感じを想像してたわけですよ。バンドはこんなことやりたいんじゃねーんだ!なんて言いながら大人と戦う、と思ってたら全然違ったんよね。まず最初にデモを渡したら、イントロやAメロをスパンと半分に削られて、尺が短くなって返ってきただけ。逆に、イントロに自分があまり納得いってないギターフレーズが入ってたんだけど、このフレーズいいね、かっこいいじゃんって。不安だらけの心が一気に自信もてました。プロデュースって、詰め込んだり追加するんじゃなくて、必要なものを見極めて、ムダを減らしてあげるべきなんだなって。プロデュースする側になってより実感してますね。まずミュージシャンのいい所を見つけて、自信をもたせてあげる事が大事。
引き算が大切だ、と。普通はプロデュースと聞くとプロデューサー独自の意向を足していくイメージですが逆なんですね。
CHOKKAKU
広島県出身。 FLEXでバンドエクスプロージョン世界大会に出場 解散後は主にアレンジャー、プロデューサーとして活動。 SMAP/KinkiKids/JUJU等、手がけたヒット曲は多数。日本有数のクリエイター。
松隈ケンタ
福岡県出身。 ロックバンドBuzz72+を率いて上京、2005年avextraxよりデビュー。CHOKKAKUのプロデュースにより4枚のCDを発表。 バンドの休止後に作家として楽曲提供を始める。2011年、音楽クリエイターチーム「SCRAMBLES」を結成。 柴咲コウ/中川翔子/BiSサウンドプロデュース等
THE対談#001「CHOKKAKU × 松隈ケンタ」
編集 /平シンジ インタビュー/ Schtein&Longer