音の違いを理解している人は意外と少ない!?
前回の「ピックと指」と同様に、理解を曖昧にしたままにしていませんか!?
そこでクリラボでは前回同様、SCRAMBLE RECORDSよりConvenienceのBa.坂内”Nori-P”孟紀をゲスト検証員に迎え、ベーシストでない方や駆け出しベーシストに向けて「ジャズベとプレベ、アクティブとパッシブの音の違い」を検証を交えて解説します。(L→R)プレベ、ジャズベ、ジャズベシェイプのアクティブベース
ジャズベ・プレベはFenderのベース兄弟
ジャズベ=JAZZ BASS
プレベ=PRECISION BASS
どちらもギター・ベースの名門ブランド「Fender」から発売されている製品で、発売年的には、プレベが1951年でジャズベが1960年となるので、プレベが兄、ジャズベが弟となります。
それぞれの特徴
【ジャズベの特徴】
・シングルコイルタイプのPUが2ケ付いており、パワーはあまりないが、繊細で幅広い音作りがしやすい。
・ネックが細めで、手の小さい人が弾きやすい。
・代表的プレイヤー ジョン・ポール・ジョーンズ(レッド・ツェッペリン)、ジャコ・パストリアス、マーカス・ミラーなど。ロックからフュージョンまで幅広いジャンルのベーシストが使用。
【プレベの特徴】
・大きめのスプリットコイルPU(ハムバッキング構造)がボディ中央に1ケ付いており、パワフルで甘めの音。音の幅はあまり広くないので、リアにジャズベ用のPUを増設するプレーヤーも多い。
・ネックは太め。ただその影響もあり、音も太い。
・代表的プレイヤー ビリー・シーン、スティーヴ・ハリス(アイアン・メイデン)、ティム・ボガードなど。どちらかというと、ハード/メタル系やストレートなROCK系のベーシストに愛用者が多い。
一般的には、初心者や手の小さい人は、弾き易さ・音の使い勝手の良さからジャズベを選ぶ人が多いです。もちろんプレベが劣っているわけではなく、プレイヤーによってはプレベ一筋!の人もいるし、曲に合わせて持ち変える人もいますので、あくまで一般論です。
アクティブベースって!?
上写真の右にさりげなく写っているシルバーのジャズベ、実は普通のジャズベではありません。これはアクティブベースと呼ばれ、イコライザ等の音域調整をする仕組みが追加されたハイテク仕様(後発という意味で)なのです。対して、普通のジャズベやプレベはパッシブベースと呼ばれ、トーン(音色)調整は出来るが、アクティブのような大幅な音域調整は出来ません。
アクティブ=能動的、パッシブ=受動的
文字通り、積極的に音づくりができるのがアクティブ、素の音を生かすのがパッシブです。文字だけ見ればアクティブのほうが良いように見えますが、仕組みが追加された分、内部の回路が複雑になるのでパッシブに比べて音が細くなったり、細かいニュアンスが出辛くなる傾向があり、これを嫌うプレイヤーもいます。先のジャズベとプレベと同様に好みと状況に合わせて使い分けるのが良いでしょう。
検証
・同じ曲を「ジャズベ」「プレベ」「アクティブ」の3種類で演奏&録音
・曲はタイプの異なる2曲を使用(指弾き系&スラップ系)
・ご覧の方にも検証頂けるように検証データを用意
検証データ
曲①指弾き系
【ジャズベ】
【プレベ】
【アクティブ】
曲②スラップ系
【ジャズベ】
【プレベ】
【アクティブ】
検証結果
【ジャズベ】
・プレベに比べて広い音域、全体的に引き締まったクリアなサウンド
・特にズンと体に響く低域とジャリっとした高域が特徴でドンシャリな音が作りやすい
・スラップでは豊かな低・高域が生かされるので、レッチリに代表されるバキバキとした現代風のスラップに向いている
【プレベ】
・ジャズベと比べると音域は狭いが、太くアナログ感のある味わい深いサウンド
・押し出しの強い中域が特徴的で高域は少なめ
・スラップよりはモータウン系の指弾き、ROCK系のピック弾きのほうがベースの個性を出し易い
【アクティブ】
・余分な音域がカットされてパッシブジャズベよりもクリアでヌケの良いサウンド
・若干コンプがかかったような印象で細かいニュアンスは出づらいがベース単体では非常に綺麗に聴こえる
・実際の生アンサンブルではカットされた分、足りない音域が出る可能性があるので注意が必要
総評・注意点
ジャズベは広い音域をカバー出来るので調整次第でジャンルを問わずオールマイティに活躍できると言えます。ただ、音域が広い分、アンサンブルでは他の楽器と被ってマスキングし易く、アンプのイコライザでの補正・引き算が必要になることもあるので注意!
プレベはアンサンブルの中低域を包むのが得意。ジャズベほどマスキングすることはないものの中域の出し過ぎには気をつけましょう。楽器編成数が少なめなほうが特徴的な中域を生かし易いので、やはりROCK系・ローファイ系が得意!
アクティブはパッシブよりも汎用性が高いものの、適切な音域調整が出来ないと逆にアンサンブルで抜けない・存在感の無いサウンドになる可能性があるので初心者には扱いが難しいことも。。
検証は以上!皆さんはどう感じたでしょうか??サウンド作りの参考になれば幸いです。コメントについてはあくまで検証員の意見なのであしからず。
今回演奏協力してくれた、坂内”Nori-P”孟紀のコラムが爆裂連載中!ベース情報満載でお送りしております!
検証員
平シンジ、田仲圭太(SCRAMBLES)、坂内”Nori-P”孟紀(Convenience)